いっとき避難場所

人間万事塞翁が馬

名付け

わたしが三歳になるかならない頃の記憶

 

弟がまだ母のお腹の中にいて

名前をどうしようかと、わたしと母と父とで話している

わたしが、"キャベツがいい!"というので母と父が笑っている。

 

部屋は蛍光灯の白い光でふんわり光っている

窓の外にはいつもの夜景  わたしはご飯を大概6時に食べていた。

だからきっと、冬だったんだな。

弟は年末に生まれたから、本当にもう少しで生まれるという頃だったんだと思う。

両親はアボカドを食べていた。醤油をつけたのを少し分けてもらったけど、美味しくなかった。

大人の味よ、と母が言った。

部屋には3人の人間がいるわけだけど(お腹の中を入れれば四人になるのか)、わたしは全然そこでは寂しくなかった。

 

 不思議だなと思う。

うちの子供は1歳くらいからアボカドを食べてるんだけど今に至るまで大好物だ。

 

 

もう少しして、弟が生まれる前後

わたしは当時大井から世田谷に引っ越した母の実家に預けられていた

おかあちゃまがもうじき帰っていらっしゃるわよと言われて

たしか運転手さんが一緒だったのかもしれない

まだ、のどかな時代だったな。誰も何も言わなくても、足元はぐらつき始めていたかもしれないけれど、まだ何も不自由していなかった。

白い服を着た赤ちゃんを抱いた母が玄関から入ってくる

 

みんながわあっと玄関によせてくる

 

名前は?

そうして、弟の名前を、母が教えてくれた。