いっとき避難場所

人間万事塞翁が馬

工場ではたらく

とりあえず工場で働いている。

そうして、その工場は基本的に熟練労働者の職場である。要は長い人は職人である。

半年は新人だと言われていて、まだ全ての仕事をおぼえられていない。

 

気がつけば。

かつてひとにすすめられたような、毎日同じ服を着て同じことを繰り返すような仕事をしているわけだが、

さて。

 

ここに来て"同じことを繰り返す仕事"だからと言って、人間関係が薄いわけじゃないというのをまず一つ思い知る。

変なはなし、事務作業の方が人間関係が希薄でもやっていけたけど、

閉鎖環境で同じことを繰り返す仕事は逃げ場がない。

長い人は十数年、同じ人たちと同じことを繰り返すことになる。

わたしはこの3ヶ月言われっぱなしで気が滅入った。前の仕事の時より人間関係が濃ゆくて大変である。隣の人のペットから隣の人の休日の過ごし方まで嫌でも耳に入ってくる上に、とにかく一人になれない。

とにかく逃げ場がない。作業に没頭する間は一人であるが、そんなの前の仕事だってそうである上に、裁量があったので自由だった。

 

そうして、教えてもらわないと何もできない。ふつうに工場なので危険だし、損失が大きいので。

 

さらに、同じ作業を繰り返す、ミスなく行うということが発狂しそうに退屈である時がある。

工夫は必要だし、手先の器用さは活かせるのだだけれど、あまり創造的ではない。

ただ一つの収穫は、自分はこういう、ミスが許されない上に速さと正確さが求められる仕事は絶対できないと思っていたが、大変なミスの量と、努力の積み重ねで、人より時間はかかるけどできるようになってきた。

たぶん他の人より確認回数が200パーセントくらい多いと思う。それでやっと、人並みにミスなくできるかなという感じだ。

しかし、とにかく繰り返しの作業ができないということはないことがわかったのが収穫だった。

 

いろいろあるわけだが、同じことを繰り返す仕事なんて一口に言えるのはたぶん、医者がそれをやったことがないからである。

世の中、人間関係から逃れうる場所はほぼない。

それができない人はどこに行ってもできないというだけだ。

どこかにそこから逃れうるユートピアがあると思うなんて、幻想である。

そういう、逃れようのない困難は打破する以外にない。

 

世の中逃げられるものと逃げられないものがあり、人間関係というのは人間の特質上逃げられないものである。

嫌々逃げながら応答するよりも、相手に向かった方が相対速度は速く、時間的に短時間で通り過ぎる。

 

そう思う。

そういうことだ。